ECの年末商戦の準備は、10月から始めるのが目安です。受付と発送の日程、贈り物の注文の受け方、受けられる件数を11月までに決めておけば、12月に慌てずに済みます。すでに自社のネットショップを運営している少人数の事業者の方に向けて、10月から年明けまでにやることを月ごとに整理します。
年末の準備は、なぜ10月から始めるのですか
お客様が贈り物を探し始める時期から逆算すると、日程を決めるのは10月になるからです。さかのぼる順番は次のとおりです。
- 発送:年内にお届けできる、最後の発送日を決める
- 受付:発送日から準備の日数をさかのぼり、受付の締切を決める
- 告知:締切を、お客様に知っていただく期間をとる
- 探し始め:贈り物を選ぶ方は、届けたい日よりかなり前から探し始める
11月に告知を始めるには、10月のうちに日程が決まっている必要があります。少人数のショップでは、12月は梱包と発送で手が埋まります。決めごとは10月と11月に済ませておくのが、無理のない進め方です。
なお、配送会社やモールの年末の日程は、毎年各社から発表されます。この記事では具体的な日付は書きません。発表が12月になる社もあります。10月は通常のお届け日数と昨年の案内で仮に決め、発表後に見直してください。
10月前半:受付と発送の日程を、先に決めていますか
10月半ばを過ぎていても、日程を決めるところから進めれば間に合います。
最初に決めるのは、受付締切日・最終発送日・年末年始の休業の3つです。決めた日付は、トップページ・商品ページ・カート画面・注文確認メールの4か所で、表記をそろえます(どこに何を書くかは下のとおり)。 日付がずれていると、それだけで問い合わせが増えます。
受付締切日:「年内のお届け」を、いつまで受けるか
最終発送日から、製造・梱包にかかる日数をさかのぼって決めます。受注してから作る商品は、そのぶん早めに締めます。
書く場所は、トップページの目立つ位置と、商品ページの「お届けの目安」の近く、そしてカート画面です。
最終発送日:年内にお届けできる、最後の発送日
配送会社の年末の受付状況や、お届け先までの日数で変わります。冷蔵・冷凍の便は、常温とは別に確かめます。
書く場所は、商品ページと注文確認メールです。注文確認メールに「発送予定日」があると、「いつ届きますか」という問い合わせが減ります。
年末年始の休業と、遅れる可能性のお知らせ
休業の期間と、休業中の注文をいつ発送するかを決めます。年末は配送が混み合い、お届けが遅れる場合があることも書いておきます。
書く場所は、トップページ・カート画面・注文確認メールです。
送料そのものの決め方(温度帯やセット組み、送料が無料になる金額)は、食品のネット販売の始め方で整理しています。年末の準備では、送料や届く日を「どこに書くか」を確かめれば十分です。
10月後半:贈り物の注文は、迷わず入力できますか
贈り物の注文は、自宅用より入力する項目が多くなります。お届け先、のし、包装、メッセージ。途中で迷うと、お客様はそこで手を止めます。 10月後半は、この入力の流れを点検します。
ステップ1:複数のお届け先に送れるかを確かめる
なぜ必要か
年末の贈り物は、1人のお客様が何軒かに送ることがよくあります。1か所ずつしか送れないと、同じ手続きを何度も繰り返していただくことになります。
どうやるか
カートの設定で、1回の注文で複数のお届け先を指定できるかを確かめます。できない場合は、「お届け先が複数のときは、一覧をメールでお送りください。こちらで分けて手配します」といった受け方を商品ページに書きます。
注意点
手作業で受けると、その手間は件数ぶん増えます。次の章の「受けられる件数」に含めて考えます。
ステップ2:のし・包装・メッセージの選び方を点検する
なぜ必要か
選択肢が多すぎたり、選び方が分からなかったりすると、注文の途中で迷いが生まれます。
どうやるか
入力欄を一つずつ見て、次の点を確かめます。
- のしの種類と表書きは、よく選ばれるものに絞って並べているか
- 名入れやメッセージの欄に、書き方の例を添えているか
- 年明けに届く場合の表書きをどうするか、一言の説明があるか
- 入力しないと先へ進めない項目(必須項目)が、多すぎないか
注意点
選択肢を増やすより、よく選ばれるものに絞って、迷わない画面にするほうが、お客様にも作業する側にも負担が少なくなります。
ステップ3:自分のスマホで、贈り物として実際に注文してみる
なぜ必要か
作った側は画面に慣れているため、初めての方がつまずく場所に気づきにくいものです。
どうやるか
ご家族の住所をお届け先にし、のしを付けて実際に注文を確定します。迷った場所と、届いた注文確認メールの発送予定日を確かめたら、その注文は取り消します(取り消しの操作も一緒に確かめます)。支払いは、手数料のかからない方法か、カートのテスト注文の機能を使います(決済によっては、取り消しても手数料がかかります)。
注意点
慣れが邪魔をするので、社内のもう1人にも同じ注文を頼みます。
ここで確かめるのは、贈り物として注文するときの流れです。商品ページの写真や説明文の見直しは、売れる商品ページの作り方をご覧ください。
11月:何件まで受けるかを、決めていますか
11月は、受けられる件数の上限を決めて、既存のお客様に知らせる月です。上限なしで受け続けると、発送が遅れ、通常の仕事も回らなくなります。
上限は「1日に出せる件数」から決める
上限は、次の計算で決めます。
1日に梱包・発送できる件数 ×(年内の発送日数 − 予備の日数)
たとえば、通常の仕事をしながら1日に出せるのが30件、年内の発送日が15日、予備を2日残すなら、30 ×(15 − 2)で390件が目安です。予備の日は、欠品や配送の遅れ、急な欠勤に備えて空けておきます。
あわせて、商品ごとの製造量や在庫も確かめます。発送の上限と製造の上限のうち、小さいほうが受けられる件数です。
売り切れと予約受付の表示を用意する
- 在庫数をカートに設定し、上限に達したら自動で「売り切れ」と表示されるようにします
- 製造が間に合う商品は、「◯日発送分」のように発送日ごとに分けて予約を受ける方法もあります
- 予約にするかどうかは、その発送日を約束できるかどうかで決めます。約束できなければ、売り切れにします
既存のお客様に、順番に案内する
最初にお知らせするのは、すでに関係のあるお客様です。
- 昨年の年末にご注文いただいた方へ、メールでご案内する
- LINEでつながっている方へ、同じ内容をお知らせする
- 11月に発送する荷物に、受付締切日を書いたチラシを同梱する
案内には、受付締切日と最終発送日を入れます。根拠のない「今だけ」「期間限定」で急がせる書き方は、景品表示法や特定商取引法に触れるおそれがあります。決まっている締切日を、そのままお伝えするだけで十分です。期間を区切って売る商品は、申込期間を注文の最終確認画面にも日付で示します。
12月:問い合わせと遅れに、備えていますか
12月は発送作業で手が埋まります。問い合わせへの答えと、遅れたときの連絡文を先に用意しておくのが、いちばんの備えです。
よくある質問をページに置く
年末に多いのは、届く日・のしや包装・領収書の質問です。答えをショップ内に置き、注文確認メールからもリンクします。
遅れたときの連絡文を、あらかじめ作っておく
遅れが分かってから文面を考えると、連絡が後回しになります。たとえば次の形です。
「ご注文いただいた商品は、年末の配送の混雑により、お届けが◯日ごろになる見込みです。お急ぎのところ申し訳ございません。お届け日のご希望がある場合は、このメールにご返信ください。」
休業中の自動返信を設定する
メールの自動返信、問い合わせフォームの受付メール、LINEの応答メッセージに、休業の期間・返信を再開する日・休業中の注文の発送予定を入れます。
ここまでの内容を、1枚の点検表にまとめます。
| 時期 | やること | 確認の目安 |
|---|---|---|
| 10月前半 | 受付締切日・最終発送日・休業期間を決める | 4か所の表記がそろっている |
| 10月後半 | 贈り物の注文の入力を点検する | 自分のスマホで、お届け先とのし付きの注文を最後まで通せた |
| 11月前半 | 受けられる件数の上限を決める | 計算した上限を在庫数に設定した |
| 11月後半 | 既存のお客様に案内する | メール・LINE・同梱チラシに締切日を入れた |
| 12月 | 問い合わせと遅れに備える | よくある質問・連絡文・自動返信がそろった |
| 年明け | 3つの数字を残す | 次の章の数字を記録した |
年が明けたら、何を残せばよいですか
年が明けたら、注文数・客単価・贈り物の注文の割合の3つを記録しておきます。来年の準備は、この記録から始めます。
- 注文数(日ごと):いつ注文が集中したか。来年の告知を始める時期と、上限の目安になります
- 客単価:1回の注文の金額。贈り物のセットが選ばれたかが見えます
- 贈り物の注文の割合:注文した方とお届け先が違う注文の割合。のしや包装にどこまで手をかけるかを決める材料です
あわせて、問い合わせの件数と多かった質問もメモします。多かった質問は、来年の「よくある質問」に加えます。
年末の準備は、毎年ゼロから始めるものではなく、去年の記録から始めるもの。
来年の9月にこのメモを開けば、準備は今年より早く、軽く進められます。
FULCRUMの視点:年末は、ショップの弱いところがいちばん見える時期
注文が増える時期には、ふだんは目立たない詰まりが表に出ます。贈り物の入力で迷う、同じ問い合わせが続く、発送が追いつかない。 どれも、もともとショップにあったものです。
代表の川﨑は、EC受注(延べ)12万件超の運用に関わってきました。年末に表に出た詰まりを年明けに直すより、年末を迎える前に一度、いまのショップを外の目で点検しておくほうが、お客様にも自社にも負担が少なくて済みます。
自社だけで点検するのが難しいときは、無料EC診断をご利用いただけます。サイトのURL・業種・メールアドレスの3つを入力いただくと、担当が実際にショップを拝見し、購入までの流れやスマホでの見え方など8つの観点から、改善の優先度をまとめてお送りします。「どこから手をつけるか」を決める材料として、気軽にお使いください。作りそのものを見直したい場合は、EC構築・リニューアルもご覧ください。
まとめ
- 年末の準備は、お客様が贈り物を探し始める時期から逆算して、10月に始める
- 10月前半に受付締切日・最終発送日・休業期間を決め、4か所で表記をそろえる
- 10月後半に、自分のスマホで贈り物の注文を最後まで通し、入力の迷いを減らす
- 11月は「1日に出せる件数」から受けられる上限を決め、既存のお客様に順番に知らせる
- 12月は問い合わせと遅れへの答えを先に用意し、年明けに3つの数字を残す
年末の段取りを自社だけで組むのが不安なときは、無料相談でいまのショップと社内の体制をお聞かせください。受付締切から発送まで、無理のない日程を一緒に組み立てます。全国どこからでも、オンラインで承ります。
ECの年末商戦の準備は、いつから始めればよいですか
10月からが目安です。お客様が探し始める時期から逆算すると、日程を決めるのは10月になります。11月に気づいた場合も、日程を決めて既存のお客様に知らせる、の2つを先に進めれば、年末の混乱は減らせます。
年内の発送が間に合わないかもしれないときは、どうすればよいですか
受付を早めに締めるか、年明けの発送分として受けるかを先に決めます。すでに受けた注文で遅れが分かったときは、用意しておいた連絡文ですぐにお知らせします。無理に受けて遅らせるより、先に締めるほうがお客様の信頼を損ねにくくなります。
贈り物への対応は、どこまで用意すればよいですか
すべてを用意する必要はありません。昨年の贈り物の注文の割合と、実際に選ばれたのしや包装の種類を見て、よく使われるものに絞ります。記録がない場合は、複数のお届け先への対応と、のしの2つから始めるのが現実的です。
年末だけ手が足りません。相談だけでもよいですか
相談だけでも大丈夫です。打てる手は、件数の上限を下げる、発送日を絞る、作業の一部を外に任せる、の3つが基本です。年末の作業と担当の整理から、無料相談で一緒に進めます。毎月決まった時間でショップの運用を外に任せる方法は、ECサイトの運用改善は外注できる?で紹介しています。
モールの年末セールに合わせたほうがよいですか
自社のネットショップだけを運営している場合、無理に合わせる必要はありません。値引きで競うより、受付締切と届く日をはっきり示すほうが、贈り物を探すお客様には選ぶ理由になります。セールをする場合も、実際の期間と条件をそのまま書きます。




