ホームページ制作会社の乗り換えは、「成果が出ていないこと」を数字で確かめ、今の会社に書面で改善を求め、その反応を見てから決めると、後悔の少ない判断になります。原因が制作会社の側だけにあるとは限らず、相手を替えても同じことが起きる場合があるからです。この記事では、続けるか替えるかを確かめる順番と、ドメインやサーバーの名義の確かめ方を整理します。
「成果が出ていない」は、何で確かめればいいですか
結論から言うと、「最初に決めた目的」「見る数字」「期間」の3つで確かめます。感覚のままでは、今の会社と話し合うことも、次の会社に引き継ぐこともできないからです。
- 目的:サイトで何を増やしたかったのか。たとえば「業務用の取引先からの問い合わせ」「採用の応募」など
- 見る数字:問い合わせの件数、サイトを訪れた人の数、どのページで多くの人が離れているか
- 期間:公開から何か月で、どこまでを目指していたか
問い合わせの件数は、フォームから届いたメールを数えるのがいちばん確かです。ただし営業や広告のメールが混ざるので、本物の相談だけを数えます。訪れた人の数や離れたページは、無料のアクセス解析(Googleアナリティクスなど)で見られます。自社で見る権限がなければ、まず制作会社に「解析の画面を自社でも見られるようにしてほしい」と頼みます。
最初に目的や数字を決めていなかった場合は、ここで決め直すことが判断の出発点になります。数字から原因を探す見方は、ホームページから問い合わせが来ない理由の記事にまとめています。
原因は、制作会社の側だけにあるとは限りません
成果が出ない原因は、大きく3つに分かれます。どれに当てはまるかで、次の一手が変わります。手元の資料で見分けてみてください。
①作り方や提案が、目的に合っていなかった(制作会社の側)
最初に伝えた目的と、出来上がったサイトがずれている状態です。たとえば「業務用の取引先を増やしたい」と伝えたのに、一般のお客様向けの作りになっている、といったケースです。打ち合わせのメモや提案書と、今のサイトを見比べると分かります。
②公開後に、サイトを動かす人が決まっていなかった(自社の側も含む)
公開してから、お知らせや商品情報を誰が直すのかが決まっておらず、更新が止まっている状態です。契約書や見積書に公開後の作業が含まれていなければ、制作会社だけの問題とは言えません。
③何をもって成果とするかを、両方で決めていなかった
目的も数字も決めないまま作り始め、公開後に「思っていたのと違う」と感じている状態です。提案書や契約書に、目指す数字が一行も書かれていなければ、これに当てはまります。
当てはまるのが①だけなら、乗り換えを考える理由になります。②や③が中心なら、相手を替える前に自社の側の決めごとを整えるほうが、お金と時間の無駄が少なく済みます。
乗り換える前に、今の会社に何を伝えますか
不満を抱えたまま黙って替えるより、一度だけ、書面で改善を求めてみることをおすすめします。相手の応え方そのものが、続けるか替えるかのいちばん確かな判断材料になるからです。
ステップ1:数字と困っていることを、書面で伝える
なぜ必要か
口頭の不満は記録に残らず、相手も何を直せばいいのかが分かりません。書面は、後で振り返るときの土台にもなります。
どうやるか
メールで、次の4つを短く書きます。サイトの目的、今の数字、困っていること、お願いしたいこと(「改善の案を○月○日までにいただけますか」)。
注意点
責める言い方より、事実と数字で書くほうが、相手も前向きに動きやすくなります。
ステップ2:改善の案と、数字を見直す日を出してもらう
なぜ必要か
案の中身を見ると、相手が目的を理解しているか、本気で直す気があるかが分かります。
どうやるか
案には「何を直すか」「誰が何をするか」「費用はかかるか」「いつ数字を見直すか」を入れてもらいます。見直す日は、たとえば2〜3か月先が目安です。
注意点
追加の費用がかかると言われたら、それが今の契約の範囲内か範囲外かを、契約書で確かめてから決めます。
ステップ3:見直す日に、一緒に振り返る
なぜ必要か
案が実行されたか、数字が動いたかが分かれば、続けるか替えるかを感情ではなく事実で決められます。
どうやるか
ステップ1で伝えた数字と、今の数字を並べます。あわせて、案の中身がどこまで実行されたかを確かめます。
注意点
実行が遅れた理由が、自社の側(写真や原稿を渡すのが遅れたなど)にないかも、正直に確かめておきます。
乗り換えを決める材料は、不満の強さではなく、書面で伝えたあとの相手の動き方です。
乗り換えを考えてよいのは、どんなときですか
書面で伝えたあとの動き方を、次の表に当てはめてみてください。「考えてよいサイン」の列に複数当てはまるなら乗り換えを考えてよい時期、「まだ早いサイン」の列が多いなら、まだ今の会社と続ける余地があります。
| 見るところ | 考えてよいサイン | まだ早いサイン |
|---|---|---|
| 連絡と返事 | 何度伝えても、返事が遅いまま変わらない | 返事は遅めでも、期限を決めれば守ってくれる |
| 改善の提案 | 書面で頼んでも、案が出てこない | 案は出ていて、実行している途中 |
| 数字の報告 | 数字を聞いても出てこず、見る権限ももらえない | 定期の報告はないが、頼めば出してくれる |
| 管理の権限 | 管理画面に入る権限を求めても、渡してもらえない | 権限は渡してもらえて、使い方も教えてくれる |
| 費用の中身 | 毎月の費用で何をしているのか、聞いても説明がない | 説明はあるが、自社が内容を把握していなかった |
「対応が悪い」「返事が遅い」「費用が高い」は、乗り換えの理由としてよく挙がる不満です。ただ、一度きちんと伝えたかどうかで、同じ不満でも意味が変わります。伝えても変わらなければ、替えることを考えてよい段階です。
乗り換える前に、名義と権限を確かめましょう
乗り換えを考え始めたら、次の相手を探すより先に、サイトの「持ち主」が誰になっているかを確かめます。制作会社の名義のままだと、サイトのアドレスを移せないことがあるからです。
①ドメイン(サイトのアドレス)の登録者は誰か
「○○.com」「○○.jp」のようなサイトのアドレスが、自社の名義で登録されているかを確かめます。登録情報を調べる「Whois(フーイズ)」という検索で見られますが、管理会社の名前が代わりに表示される場合もあるので、契約書とあわせて確かめます。「○○.co.jp」は1社につき1つで、通常は自社名義です。その場合は、次の②の管理アカウントの確認が大切です。
②ドメインの管理会社のアカウントを、誰が持っているか
ドメインを管理する会社のログイン情報を自社が持っているか、制作会社のアカウントの中にまとめて入っているかを確かめます。
③移すための認証用のコード(AuthCode)を受け取れるか
ドメインを別の管理会社へ移すときは、今の管理会社が発行する認証用のコードを求められるのが一般的です。誰に頼めば受け取れるのかを、先に確かめておきます。
④サーバー(サイトのデータを置く場所)の契約者は誰か
制作会社の名義で、ほかのお客様のサイトと一緒に置かれていることもあります。その場合は、データを移す作業が必要です。会社のメールも同じサーバーにあることが多いので、解約の前に移し先を決めておきます。
⑤サイトの管理画面に、自社のログイン権限があるか
お知らせなどを更新する管理画面に、自社が「管理者」として入れるかを確かめます。
あわせて、写真・文章・デザインといった納品物の扱いが、契約書でどう決まっているかも確かめます。自社で撮った写真と、制作会社が用意した写真やデザインでは、扱いが異なることがあります。判断に迷うときは、契約書を手元に専門家へ確かめると安心です。アクセス解析が誰のアカウントにあり、自社に管理者の権限があるかも確かめます。自社のアカウントへ移してもらえば、これまでの数字を引き継げます。
乗り換えるときは、どの順番で進めますか
乗り換えると決めたら、「解約してから次を探す」のではなく、「次の準備が整ってから旧契約を終える」順番で進めます。サイトが表示されない期間や、アドレスが使えなくなる事態を防ぐためです。
- 名義と権限を棚卸しする:前の節の5つと、納品物の扱いを一覧にします。
- 今の契約の解約条件を確かめる:解約を何か月前に伝える必要があるか、残りの期間の費用はどうなるかを、契約書で確かめます。
- 次の相手を選ぶ:選ぶときの基準は、Web制作会社の選び方の記事で整理しています。確かめた数字と名義の一覧を見せると、話が早く進みます。
- 引き継ぐものを一覧にする:ドメイン、サーバー、管理画面のログイン情報、写真や文章の元データ、アクセス解析などです。今のサイトを活かして直すか、作り替えるかは、リニューアルの判断基準の記事が参考になります。
- 新しいサイトの準備ができてから切り替える:アドレスが変わる場合は、古いアドレスから新しいアドレスへ自動で移る設定(リダイレクト)を入れてもらいます。
- 切り替わったのを確かめてから、旧契約を終える:表示、問い合わせフォームの届き先、メールが正しく動くかを確かめてから、旧契約の終了日を迎えるようにします。解約の申し出は、契約書の期限から逆算して、段取りが決まった時点で行います。
FULCRUMの視点:替えるかどうかより先に、何を成果とするかをそろえる
制作会社への不信感が強いと、「とにかく替えたい」という気持ちになるのは自然なことです。けれど、相手を替えても、目的と見る数字が決まっていなければ、同じことが起きやすくなります。
代表の川﨑は、これまでWebサイト制作900件超に関わってきましたが、乗り換えのご相談で最初にお聞きするのは、次の会社の候補ではなく「このサイトで何を増やしたかったか」です。そこがそろえば、今の会社と続けるほうがよいのか、替えるほうがよいのかは、自然と見えてきます。
乗り換えを前提にした提案はしません。今の会社と続けるほうがよいと感じれば、そうお伝えします。ホームページの企画・制作・運用支援では、今のサイトを活かした改善から引き継ぎまで、順番に一緒に整理しています。全国どこからでも、オンラインでご相談いただけます。
まとめ
- 「成果が出ていない」は、目的・見る数字・期間の3つで確かめる
- 原因は制作会社の側だけとは限らない。自社の側の決めごとが原因なら、替えても同じことが起きやすい
- 乗り換える前に、数字と困っていることを書面で伝え、改善の案と見直す日を出してもらう
- 書面で伝えたあとの相手の動き方で、続けるか替えるかを決める
- 乗り換えるなら、ドメイン・サーバー・管理画面の名義と権限を先に確かめ、次の準備が整ってから旧契約を終える
続けるか替えるかで迷ったら、無料相談で今のサイトと契約書、手元の数字をお見せください。乗り換えありきではなく、どちらがよいかを一緒に整理します。
制作会社に解約を伝えるのは、どの時点がいいですか?
次の相手が決まり、引き継ぐものの段取りが見えてから伝えるのが安全です。先に解約すると、サイトの表示やメールが止まるおそれがあります。契約書に「解約は○か月前までに申し出る」といった決まりがあれば、そこから逆算して準備を始めます。
ドメインが制作会社の名義になっていたら、どうすればいいですか?
まずは今の制作会社に、自社の名義に変えてもらえるかを相談します。名義の変更と、別の管理会社へ移すための認証用のコードの発行は、どちらも今の管理側の協力が必要です。話がまとまらないときは、契約書を手元に専門家へ相談します。
今のサイトの文章や写真は、新しい会社に持っていけますか?
自社で撮った写真や書いた文章は、元のデータを手元に戻してもらえば使えることが多いです。一方で、制作会社が用意した写真やデザインは、契約の内容によって扱いが変わります。契約書で納品物の扱いを確かめておくと安心です。
乗り換えると、検索の順位は下がりますか?
サイトのアドレスが変わる場合は、切り替えの直後に検索での表示順位が一時的に動くことがあります。古いアドレスから新しいアドレスへ自動で移る設定を入れておくと、時間とともに落ち着くのが一般的です。アドレスを変えずに制作会社だけを替える場合は、影響を小さく抑えやすくなります。
今の制作会社との契約が残っていても、相談してよいですか?
はい、もちろんです。契約が残っている段階のほうが、名義の確認や解約の条件を落ち着いて整理できます。続けるか替えるかが決まっていなくても構いません。売り込みはしませんので、オンラインでお気軽にご相談ください。




