中小企業の経営者が本当に欲しいのは、答えではなく「一緒に考えてくれる人」だった

答えではなく問いを一緒に考える 当社の考え方

「これだけ情報があるのに、自社の答えが見つからない」── そんな経験はないでしょうか。中小企業の経営者の方々と話していて気づくのは、皆さんが本当に求めているのは「正解の答え」ではなく、「一緒に考えてくれる相手」なのではないか、ということでした。

「答え」より、「問い」を一緒に立てられる相手か

検索すれば、たいていの答えは出てきます。本屋に行けば、経営の正解集が積み上がっています。コンサルタントに頼めば、業界トレンドや成功事例を整理した分厚い資料が届きます。

それなのに、なぜ多くの経営者の方は「答えが見つからない」と言われるのか。

私たちは、こう考えています。本当に困っているのは「答えが分からない」ことではなく、「何を問えばいいか分からない」ことなのではないか、と。

たとえば、自社ECを始めたい経営者が、本当に必要としているのは「Shopifyの構築手順」ではないかもしれません。「うちの場合、ECを始めるべきタイミングは、本当にいまなのか?」「卸売を縮小してでも進めるべきか、両立するのか?」 ── そうした、自社固有の問いを一緒に立てられる相手なのではないでしょうか。

問いが定まれば、答えは半分見えている。

逆に問いが曖昧なまま、誰かの答えだけを借りても、自社の現場では使い物にならないのですね。

「他人ごと」のコンサルと、「自分ごと」の伴走者の違い

経営者の方々からよくお聞きするのが、こんな悩みです。

「コンサルに頼んだが、結局『他人ごと』の意見しか返ってこなかった」

レポートは届く。指摘もある。でも、それが「自社の現場で、自社の人材で、自社の予算で、本当に実行できるか」までは踏み込んでくれない。

業界の正解と、自社の答えのあいだには、深い溝があります。その溝を一緒に飛び越えてくれる相手が、本当はいてほしい。それが、多くの経営者の方の本音なのではないかと感じます。

「自分ごと」として伴走するとは、自社の経営判断を共に背負う、ということです。成功すれば一緒に喜び、つまずけば一緒に修正する。提案して終わりではなく、現場に立ち会い続ける。

他人ごとの助言なら、外からいくらでも飛んできます。難しいのは、自分ごとにしてくれる相手を見つけることのほうですね。

たとえば、ある食品メーカーの二代目の方から「自社ECを始めたい」とご相談をいただいたときのことです。最初の打ち合わせで、私たちは構築手順の話をしませんでした。代わりに「なぜ、いまなのですか?」「卸売を縮小してでも進めたいのか、それとも両立させたいのか?」と、問いを重ねていきました。すると、ご本人の口から「先代から継いだこの会社で、自分の代の柱をつくりたい」という言葉が、ふいにこぼれたのです。ECは目的ではなく、その想いを形にする手段の一つだった ── そう分かった瞬間、進むべき順番が、すっと見えてきました。私たちがしたのは、答えを差し出すことではなく、その方自身の中にすでにあった問いを、隣で一緒に掘り当てることだけでした。

私たちが「支点」という言葉を社名に選んだ理由

FULCRUM(フルクラム)という社名は、英語で「てこの支点」を意味します。

てこの原理では、小さな力でも、適切な「支点」を置くことで、大きな物体を動かせます。経営も同じだと、私たちは考えています。経営者の皆さまが持っている情熱・人材・商品(力点)を、成果(作用点)へと変えるための「支点」が、必ずどこかにあるはずです。

ところが、この「支点」だけは、外から見ても見えにくい。業界の事例集にも、経営書にも、汎用的な支点は載っていません。なぜなら、支点は一社ごとに違うからです。同じ食品メーカーでも、地域・商品・顧客層・社長の想いによって、置くべき支点はまったく違います。

だから私たちは、その一点を伴走しながら一緒に探すことを、仕事の中心に据えました。答えを差し出すのではなく、支点を一緒に見つける ── これが、FULCRUMという名前に込めた約束です。

私たちが、小さくても伴走にこだわる理由

正直に申し上げると、私たちは大きな会社ではありません。だからこそ、規模で勝負するのではなく、距離感で選んでいただきたいと考えています。

一社一社の経営に深く入る、というのは、簡単に何十社も並行できる仕事ではありません。今期は何社まで、と上限を決めて伴走することになります。

これは経営判断としては「効率の悪い」やり方かもしれません。それでもこのスタイルを続けるのは、過去に何度も見てきたからです。価格や規模を理由に発注先を決めて、結局「やり直し」に倍以上のコストをかける会社の姿を。

経営の支点は、3ヶ月や半年では見つかりません。3年・5年と並走してこそ、初めて見えてくるものです。だから私たちは、関係の数より、関係の深さを選びたいのです。

これまで1,100社以上の経営者の方と個別相談を重ねてきましたが、深いお話に至るのは、いつも「同じ目線に立てたとき」でした。指導するのでも、評論するのでもなく、隣に座って一緒に悩む。その距離感だけは、規模が大きくなっても手放したくないと思っています。

最後に、いま悩んでいる経営者の方へ

もし「答えが見つからない」と感じているなら、それは間違っていません。答えが先に見つかる経営など、本当はないからです。

見つけるべきは、自社の支点 ── つまり、何を、なぜ、いま、どの順番でやるのか、という問いの構造です。そして、その問いを一緒に立てる相手を選ぶことが、おそらく経営者にできる最大の意思決定のひとつなのではないかと思います。

私たちFULCRUMが、その候補のひとつになれるかどうかは、お話してみないと分かりません。ただ、もしこの記事を読んで「少し話してみたい」と感じられたなら、その直感を大切にしていただきたいと思います。直感は、ご自身の経営の支点を探す、最初のレーダーのようなものですから。

川﨑 力也
川﨑 力也
合同会社FULCRUM 代表社員CEO / Webコンサルタント・Webディレクター

Webサイト制作900件以上・個別相談1,100社以上・セミナー登壇34回の現場経験をもとに、中小企業・地域のWeb・EC・集客から、商品開発・ブランディング、DX・AI・補助金・脱炭素(GX)まで“ひとつの窓口”で支援。戦略から実装・運用・改善まで伴走します。

商工会連合会 登録専門家認定 地域DXプロデューサー ★★★脱炭素アドバイザー アドバンスト
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